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マーブル、波頭、イノシシ、そして歌謡曲

 

 Marbleって大理石のことだっていうのを、恥ずかしながら今の今まで知らなかった。調べてみるとそう書いてある。また、「おはじきの石」という意味もあるらしく、あのマーブルチョコレートという名前にも合点がいく。俺の時代にはマーブルといえばマーブルチョコレートで、これがマーブル模様ではないのになぜマーブルなのか、今初めて知った。

 

 マーブル模様をルアーに用いたのには、そのマーブルという音の響きが当時なぜか妙に気に入ったということもある。そのチョコレートのせいで、子供の頃に刷り込まれたのかもしれないなあと今思っているところ。

 

 実作業はいくらかの試行錯誤はあったにせよ、これがことの外楽しかった。すくい取って唯一の紋様が出来上がっていく様がなんだか俺には向いている。同じことの繰り返しが少々苦手なところがある俺ではあるものの、これだと作業は繰り返しでも出来上がりが違っていて退屈を免れるから。

 

 だから今回の場合も、この作業は俺自身が受け持った。(仕上がりが読めないと言う点では、例えば職人は嫌がる事でもあるかもしれない。)ただし、下地とかコーティングの技術が進歩している分、出来上がりは当時に比べて格段に美しい。

 

 

 Wave Head Redはもちろんレッドヘッドあるいはヘッドカラーへのオマージュである。そのまんまのレッドヘッドをやってしまうのは、どうも流儀に反する。でも一体どうすれば良いのか考えあぐねた結果の産物。

 

 まあ、しかし、これは面倒な作業だった。テンプレートを作るにもあまりうまくはいかない。最終的にたどり着いたのはカッティングシートでマスキングするという、今ではおそらく割とポピュラーな手法なのだけれど、いちいち貼るのはとても手間だったし、剥がす時にも糊が残ったりして、これが非常に面倒な作業なのだ。今ではある程度のスキルがあるから当時よりは多少作業は楽ですが。

 

 今ならそうでもないが、ラメをサイドに散りばめるのでさえ、そのまんまやることに実は抵抗があった。何かないかと探した結果、貝の粉で代用することに落ち着いた。これだと特有のきらめきもあってより釣れそうな気もしないでもないから。

 

 しかし、そんな風にオリジナリティを強烈に意識していることに関しては、細かと大まかにかかわらず、誰もあまり評価はしてくれないよなあ、というのは20年やってきた正直な実感ではある。パーツだってうちのは結構オリジナルが多いんだけれど・・・。まだまだ力足らずということなんでしょう、これは。

 

 

 それでもインディープラグとしては多少の脚光をあびることになったMighty Arrowから遡ること数年、人知れず廃盤になったルアーがある。ま、一切日の目を浴びないプラグは幾多とあるのだけれど、このイノシシはおそらく数十個くらいは売りに出されたと思う。お金のないバンドマンには外注するなんて考えは露ほども浮かばず、もちろん手元には旋盤さえもないから、2次元だとか3次元なんてことも考えずカッター片手に削り出していた時代の津波ルアーズ。

 

 それまでのヘビとかカエルと違って、これって形先行で、名前は後から。ヘビやカエルと来たら、はてこいつはどうしようって思い浮かんだのがイノシシ。ネズミもこれと同じで、形が先行し、名前を考えた後、無理矢理ヒゲと尻尾を付けた、そんなことだったと記憶している。

 

 ダーターなんていう不人気なジャンルの、さらにはアクションも地味な、しかも三次元シェイプのこいつを、木工の外注に出すなんてリスクを負う勇気は当時の俺にはなく、そのまま忘れ去られたというのが廃盤の真相だ。

 

 ジャンボリー実行委員のカミオカに「イノシシの復刻はどうですか?」と問われて、最初は時間的にも気分的にも「無理」と答えたものの、なんだか妙に気持ちに引っかかって、2個だけ手元にあるイノシシを事務所裏のドブ川でアクションさせてみたら、これがさらに気持ちのどこかの部分を引っ掻いて、ついには木工にオーダーを入れてしまう。

 

 木工は時間的にも難しいところだったのだけれど、Mighty Arrowとこいつを無理言って引き受けてもらったのはタナカウッドワークスことサウスハンド。感謝しています。

 

 

 その昔、西表の川で釣りをした時、ガイドのヨーイチがイノシシ(その時にはまだ名前すらなかったかも知れない)を動かす俺を見て「それ、気に入ってるでしょ?」みたいなことを言った、それを妙に覚えている。これを強烈にジャークして捕食音を立てると、それに負けない捕食音で結構マングローブジャックが出たもんだ。考えてみればバスを釣ったイメージよりもその方がよっぽど強い。

 

 ジャンボリーのカラーは一色だけ。例のオカジマが「藍染め出来ますけど?」という提案に、時間がないこともあって思わず乗ってしまった。あとで少し後悔することになるのだけれど。と言うわけで、こいつはそのオカジマが生木の状態で染めたもの。下地処理をしてしまっては染まらないので。

 

 補足すると、オカジマも俺も徳島出身であると言うことも藍染めをチョイスした理由。ちなみに一番最初にヤブサメというロッドをリリースした際、付属していた竿袋はうちのお袋が藍染を施したものだった。それをオカジマが覚えていて、それにちなんで提案したということもある。

 

 ただ、急ぐあまりその後の処理をオカジマがしくじってしまった。染め上がって処理されたそれらを見てフジワラが「汚っ」て思わず呟いたくらい。しかし、全部ボツにするわけにはいかないので、俺の奮闘が始まる。とにかくコーティングして磨くの繰り返し。その手間たるや・・・。なんとかリカバリーできたのは30個中25個。

 

 染め自体はオカジマが言うほど俺は悪くないと思っていたし、そのラフさが逆に良い雰囲気に繋がったと思う。木目と藍染が醸し出すナチュラルな質感は見ていて飽きない。

 

こんな一点物もあり

 

 さて、ジャンボリーはいよいよ明後日。天気もなんとかもちそうです。

 

 ライブでは子供の頃から好きだった曲を一曲だけ歌ってみようと思っている。マーブルチョコレートが全盛を誇っていたであろうその頃、子どもにはTVで流れる歌謡曲が鮮烈で、それらは少なからずどこかに刷り込まれていて、ことあるごとに記憶の底から呼び起こされ口ずさまれる。その中でも未だに素直に好きだと言える一曲がそれ。下手なりに上手くこなせるかどうか。

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