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Zara

 

 帰国した日、自宅に帰っても妻と息子と愛犬は妻の実家にいるので、誰にもおかえりとは言ってもらえず少し寂しい思いをする。翌日その実家の神戸へ向かう道すがらのブルース・スプリングスティーンが、妙に感傷的におかえりと響く。道々つまむコンビニの枝豆のうまいことうまいこと。

 

 その後メキシコに同行したスミススタイルの重鎮からいただいたLINEに曰く「自分のやっていたスタイルをもう一度考え直して、幅広い物に出来そう」とあった。確かにメキシコとはそういう場所である。俺自身そうやって自分のスタイルを築いてきたという自負もあるし。さすが御大、言い得て妙とはこのことだ。

 

Kazuo Tamakoshi 撮影に臨むの図。これは二日目の撮影の1コマですが、この日と一日目は本当に苦心惨憺というご様子の御大でした。

 

 「ザラスプークですよ、やっぱり」なんて、過去にメキシコに同行した誰かが言ったとか言わないとか。俺がこれを使うことは、もう20年以上ないのだけれど、今年は久しぶりにその威力を思い知る。シゲがこれを使って釣るのを目の当たりにした日、もう何年かぶりに自分のペースが乱れるのを感じた。いわゆる「あせる」というやつ。いや、本当にこのルアーは釣れる。釣れるメキシコでだからこそそれがあからさまにわかってしまうのだ。(一つにはそれを再確認したくて、やつに使うことを薦めたということもないではない)

 

 だからって簡単に降参してしまうわけにはいかないのである。なぜって、俺はルアーデザイナーだから。これに負けないプラグを作ることが、あるいは作ろうとすることが、永遠のテーマ、そして俺の存在意義ということになる。

 

上からNiva DP(プロトタイプ)、Sweephonic CigarVivo DP、Whippy JL Mini(プロトタイプ)

 

 ペンシルベイトは相変わらずここではよく釣れる。去年はそうでもなくて少し苦労した覚えがあるけれど、今年のエルサルトは明らかにペンシルベイトが良かった。津波ルアーズでいうと、Vivo DP(これはまさにザラスプークに触発されて出来たプラグ)、そして純粋にペンシルベイトとは言えないものの、変則ペンシルポッパーのSweephonic Cigarが前半の二本柱。加えて後半多用したのはNivaのインジェクションプロトタイプだった。これでザラスプークにも負けない釣果を叩き出したと思う。

 

撮影艇と玉越さんのガイドを担当したベテランガイドのロレンソ。俺もかつて彼にガイドしてもらった経緯があって、俺がフェラルドと彼を指名したのである。とてもいいやつなんです、彼は。ちなみに明石は過去にガイドしてもらった経験があり、去年は俺をガイドしたアロンを指名。

 

 いずれもアクションは連続スライド。ほぼポーズはいらない。玉越さんをも含む他の三人に言わせると、どうやら俺のアクションは「早い」のだそう。それほどこれを意識したことはないのだけれど・・・。ここでは午後は必ずと言っていいほど風が強く吹く。そうするとポーズを取ることが難しくなるからだろうか、ここでペンシルベイトを使ううちこれが自然と身についたのである。それでも問題なく釣れるし、効率も良い。時にはその方が良いことさえもある。これが効かないと、ゆっくりアクションし、さらにはポーズを入れることを試す、と言うのが俺の手順。それはここに限ったことではなくて、いつの間にか日本でもそうするようになった。

 

こんな大木が丸見えになるのはこの減水期ならでは。秋に行くとこんな風景はまず見られません。

 

 ちなみにVivo DPはボーン素材のノッカータイプで、テールのウェイトをアルミに変えて浮き角度を浅くしたスライダーチューン。スライド、スケート、ターン、そしてダイブ、全方向3Dアクションをこなす45°浮きのモデルに対し、スライダーチューンはスライド&スケートがより得意である。連続でスライドさせるとノッカーがいちいち響いてアピールする。ノッカーというのは実にリズミカルで、釣る側のリズムもこれで作ることが出来る。

 

 対してSweephonic Cigarは一見クワイエットだけれど、その実カップが空気を孕む音、そしてテールが動く金属音とフラッシングが魚を魅了する。Vivo DPのフォローにこれを用いることが多かったと思うが、そのフォローにでかい魚がもんどり打って出ると、これは快感以外の何物でもない。

 

天才ガイドのフェラルドと

 

 Niva DP プロトはゆっくり大きくスライドさせて使うことを意識したモデルなのだけれど、後半戦は思い切って発想を転換し、短く早いスライドで使ってみる。これにもVivo DPと同じくラトルが内蔵されていて、ただしいわゆるワンノッカー・タイプのクラック音ではなく、ゴロンゴロンという少々異質な音が出るようにしてある。これを後半はVivo DPに換えて多用した。

 

 

 加えて気を吐いたのはプロトタイプのWhippy JL Mini、Whippy JLのダウンサイズヴァージョン。これを短くトゥイッチ、つまりはショートジャークする。広範囲に探るというのではなくてピンポイントで使う。具体的に言うと、今回はほとんど岩盤がその活躍の場所となった。

 

 去年はBeyond The Vamonosを見てもわかるように、Slapphappy Shad Jのショートジャークが本当によく効いた。だからこそこのWhippy JL Miniを作って臨んだのだけれど、テラピアを意識したバスにはこっちの方が効くのでは?という目論見がズバリ当たったと言えるかもしれない。最終的にガイドのフェラルドは、岩盤や、ペンシルベイトのバイトがひと段落したりすると、「サミー、テラピアルアーだ」と指定するほどになった。

 

 

 そのフェラルドについて少し。彼は若干22歳で未婚の若者。英語は不得手。今年はガイドを指名するつもりはなかったのだけれど、直前になんだか少し不安になって、過去にガイドしてもらったことのある数名を候補として上げて希望を出しておいた。そうして俺に割り当てられて来たのが彼である。

 

 去年初めて会った時には、果たしてこんな若造にガイドが務まるのか?と思ってしまったものだけれど、あにはからんやその結果は予測を見事に裏切ってお釣りがくるほどだった。ただ、俺の場合は去年は一度しか彼の船に乗っていないので、その実力の一端しか見ておらず、今年も未だ少し懐疑的な部分がなきにしもあらず。実際に5日半乗ってみて、俺が指示を出したのはたったの一度だけ、釣れている岬の隣の岬に行ってみて欲しいと言ったそれきりだった。つまりはほぼ不満なしに息を合わせることが出来たと言うこと。

 

 彼の場合、ポイントの見切りが時に異常なほどに早く、ラン&ガンタイプであることは明白。それでも釣れるところではしっかり粘るし、何度でもタイミングを変えて入る。その辺りはちょっと理解しがたい、いわゆる「勘」の部分もあるような気がして、それはちょっと天才的でさえある。トップウォーターのガイドなんておそらく去年と今年で二度目にもかかわらず、まるで手練れのような振る舞いにはほとほと感心。また行くことがあれば俺は彼を指名することになると思う。

 

 

 ところで、往きのLAのアンティークモールで手に入れたアナログ盤を紹介。これはスティーリー・ダン。俺の好きなあの「Gaucho」へと至る前の作品。ラリー・カールトンにティモシー・シュミット、チャック・レイニーにバーナード・パーディー、そしてマイケル・マクドナルドまで、綺羅星のごときプレイヤーが参加するこれが、確かわずか5〜6ドルとは、かなり年季が入っているとはいえ大変お買い得である。

 

 この時点で中心メンバー=フェイゲン28歳、ベッカー26歳とは本当に恐れ入る。フェラルド以上に早熟の天才。

 

 しかし、このジャケットデザインてどうなんだ?と思っていたら、彼ら自身もどうやら「70年代でダントツに最悪である」と取材で述べているそうで妙に納得した。

 

 今日はこの辺で。

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